「整骨院の初回は何をする」のだろう。はじめての院に行く前に、そう考える方は少なくありません。問診票を書いて、少し体をさわってもらって終わり。そんなイメージを持たれることもあります。実際にはその時間のなかで、施術者は「痛みの原因は何か」という見立てを組み立てています。この記事では、私たちが2026年7月に3院で残した「判断の記録」59件をそのまま集計し、初回に何が行われているのかをお伝えします。
整骨院の初回は何をする?聞く・調べる・見立てるの3つです
結論から言うと、初回の時間は大きく3つに使われます。「聞く」「調べる」「見立てる」です。
まず「聞く」。いつから痛むのか、どんな動きでつらいのか、きっかけになった出来事はあったか。仕事や家事の姿勢、睡眠や運動の習慣もうかがいます。
次に「調べる」。体を前後に曲げる、ひねる、腕を上げるなど、動きを見ながら痛みの出る角度を確かめます。そのうえで実際に触れて、どの筋肉や関節が硬くなっているかを確認します。
そして「見立てる」。ここが初回のいちばん大事な部分です。「どこが痛いか」ではなく「なぜそこが痛くなったか」を決めるのが見立てです。
同じ「腰が痛い」でも、長時間のデスクワークによる筋の疲労なのか、股関節の動きの悪さを腰がかばっているのか、背景はさまざまです。背景が違えば、選ぶ手も変わります。
痛みが強い場合、しびれや発熱をともなう場合、安静にしていてもつらい場合は、まず医療機関を受診してください。
なぜ「見立て」が必要なのですか?
結論として、腰や肩の痛みは原因の候補が多く、見立てを外すと遠回りになるからです。
世界保健機関(WHO)によると、2020年時点で世界の腰痛人口は推定6億1,900万人にのぼり、腰痛は世界の障害原因の第1位とされています。それだけ多くの人が抱えながら、原因は一人ひとり違います。
たとえば、同じ「右肩が上がらない」という訴えでも、肩そのものの問題のこともあれば、肩甲骨を支える体幹側の筋がうまく働いていないこともあります。前者に肩だけの施術をしても、変化が乏しいことがあります。
だからこそ、施術者が最初に立てた見立てを言葉にして残し、次の来院で確かめる作業が要ります。頭のなかで考えているだけでは、当たったのか外れたのかがあいまいなまま流れてしまうためです。
私たちは、施術者が判断した内容を毎回フォームに入力しています。記録する項目は次の5つです。
- 仮説:原因を何だと読んだか
- 根拠:何を見て、聞いて、触れてそう思ったか
- 施術を選んだ理由:なぜその手を選んだか
- 外れる条件:どうなったら仮説が違ったと言えるか
- 別案:ほかに取り得た手は何か
とくに4つ目の「外れる条件」を先に書く点が特徴です。施術する前に「こうならなければ外れ」と決めておくことで、あとから都合よく解釈できなくなります。
データで見る:2026年7月の判断記録59件の内訳
結論として、2026年7月の1か月で、3院合わせて59件の判断記録が残りました。記録した施術者は6名、記録のあった施術日は23日間です。
内訳は次のとおりです。
種別で見た内訳
- 初回・再診時の見立て:37件
- 経過の転機(前回からの変化を受けて判断し直した場面):22件
相談された悩みの数で見た内訳
- 1つ目の悩み(主訴):51件
- 2つ目以降の悩み:8件
2つ目以降の悩みは59件中8件、割合にして13.6%でした。腰の相談で来られた方が、同じ時間のなかで肩や体調のことも相談される。そうした場面がおよそ7回に1回あった計算になります。
院で見た内訳
- 東砂院:25件
- 塩浜院:18件
- 南砂院:16件
出典:成竹鍼灸整骨院グループ調べ(2026年7月・n=59)。個人が特定される情報は集計に含めていません。
数字そのものより、「59件ぶんの判断が言葉として残っている」という事実に意味があります。記録がなければ、経験は個人の記憶のなかにとどまり、院として積み上がりません。
見立ては合っていたのですか?答え合わせの実施状況
結論から言うと、7月に記録された転機22件は、そのすべてで「前回の仮説は実際どうだったか」「予想とのズレはどこにあったか」が記入されていました。22件中22件、実施率は100%です。
また初回・再診時の37件についても、「仮説」「根拠」「施術を選んだ理由」「外れる条件」の4項目が37件すべてで記入されていました。
ここでお伝えしたいのは、「見立てがすべて当たっていた」ということではありません。むしろ逆です。記録を読み返すと、可動域の回復が想定より乏しかった、本人の感じ方が予想と違った、といった振り返りが並んでいます。
大切なのは、外れた場面が外れたまま記録に残っていることです。次に同じような状態の方が来られたとき、その一件が判断の材料になります。
見立てを言葉で残す仕組みには、通う側にとっても利点があります。
担当が替わった場合でも、前回どう考えて何を選んだかが引き継がれます。また「前回はこう考えていましたが、思ったほど変化が出なかったので今日は方針を変えます」と、説明の根拠がはっきりします。
もし説明があいまいだと感じたら、遠慮なく「前回の見立てはどうでしたか」と聞いてみてください。答えられる院であれば、判断の筋道が残っているということです。※感じ方には個人差があります。
整骨院の初回で伝えておくとよい3つのこと
結論として、次の3点をあらかじめ整理しておくと、初回の見立ての精度が上がります。
「1か月前から」「靴下をはくときだけ痛い」のように、時期と動作をセットで伝えてください。動作が特定できると、確かめるべき箇所がしぼれます。
痛みの強さは、いちばんつらいときを10としてどのくらいか、という言い方でも構いません。
引っ越し、模様替え、旅行、新しい運動を始めた、家族の介護が始まった。こうした変化は原因の手がかりになります。
「関係ないと思うのですが」という前置きの話が、いちばんの手がかりになることも珍しくありません。
病院にかかったことがあるか、レントゲンやMRIを撮ったか、どんな説明を受けたか。お薬手帳や検査の紙をお持ちいただけると助かります。
すでに医療機関で診断がついている場合、私たちの見立てもその範囲のなかで組み立てます。
「こんなことを聞いてもいいのだろうか」と迷う必要はありません。何をされるのか分からないまま体をあずけるのは、誰にとっても不安なものです。
施術に入る前に「今日は何を目的に、どこにどうアプローチするのか」を確認していただいて構いません。
まとめ
「整骨院の初回は何をする」のかを、私たちの判断記録の集計からお伝えしました。要点を振り返ります。
- 初回は「聞く」「調べる」「見立てる」の3つに時間を使う
- 見立ては「どこが痛いか」ではなく「なぜ痛くなったか」を決める作業
- 2026年7月の3院合計で、判断記録は59件(初回・再診37件/転機22件)
- 相談された悩みのうち13.6%は2つ目以降の悩みだった
- 転機22件は全件で前回仮説の答え合わせが記録されていた
- 初回は「時期と動作」「生活の変化」「受診歴と検査結果」を伝えると見立てが早い
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