朝、目が覚めて首を動かそうとした瞬間に「痛っ」と走る痛み。いわゆる寝違えです。一度なると数日つらく、しかも何度も繰り返す方が少なくありません。「またなった」「クセになっているのでは」と不安に感じていませんか。
実は、寝違えを繰り返す背景には、日中の首の負担や枕・姿勢といった生活習慣が関わっているといわれています。この記事では、寝違えを繰り返す原因と、自宅でできる見直しのポイントをやさしく解説します。※感じ方には個人差があります。
寝違えを繰り返す原因は「寝ている間」だけではない

寝違えというと「変な寝方をしたから」と考えがちです。しかし、寝違えを繰り返す原因は、寝ている間だけにあるわけではありません。
一般的に、寝違えは首や肩まわりの筋肉・関節に負担がたまった状態で、無理な姿勢のまま眠ることで起こるといわれています。つまり、日中の首の負担が土台にあり、睡眠中の姿勢が引き金になるというイメージです。
次のような場面は、首に負担をためやすいといわれています。
- パソコン作業で長時間うつむいている
- スマートフォンを見る時間が長い
- 同じ姿勢で座りっぱなしになっている
- 冷房や寒さで首・肩が冷えている
たとえば、デスクワークの合間に一度も立ち上がらず、昼食後もそのまま画面に向かう。こうした一日を過ごすと、首の筋肉は夕方には硬くこわばっています。その状態で眠りにつけば、少しの寝返り不足でも痛めやすくなります。
英アストン大学の研究者によるレビュー(BMJ Open Ophthalmology, 2018)では、パソコンなどデジタル機器を使う人のデジタル眼精疲労の有病率は50%以上と推定されると報告されています。画面を見続ける生活は、目だけでなく首にも負担をかけやすいと考えられます。
日中に疲れをためた首が、夜の無理な姿勢で限界を超える。この積み重ねが、繰り返す寝違えの背景にあるのです。まずは「昼の首の使い方」に目を向けてみましょう。
枕が合っていないと首の負担が増える

寝違えを繰り返す方に、まず見直していただきたいのが枕です。枕は毎晩数時間、首を支え続ける大切な道具だからです。
枕が高すぎると、寝ている間ずっと首が前に曲がった状態になります。反対に低すぎると、頭が後ろに反りすぎてしまいます。どちらも首の筋肉が休まらず、朝までに負担がたまりやすくなります。
ご自宅で確認できるポイントを挙げます。
- あお向けのとき、首の後ろにすき間ができすぎていないか
- あご先が上がったり、下がりすぎたりしていないか
- 横向きのとき、背骨と首がまっすぐ一直線になるか
- 寝返りを打っても頭が落ちない広さがあるか
タオルを重ねて高さを微調整するのもおすすめです。バスタオルを三つ折りにし、数ミリ単位で高さを変えるだけでも、朝の首の楽さが変わることがあります。
新しい枕にしてから寝違えが増えた、という声もよく聞きます。体は今までの高さに慣れているため、急な変化になじむまで数日〜2週間ほどかかるといわれています。合わないと感じたら、タオルで少しずつ高さを戻して調整しましょう。
また、マットレスがやわらかすぎると体が沈み込み、首の位置がずれやすくなります。枕とマットレスはセットで考えると見直しやすくなります。合う寝具を探すには試す期間が必要です。焦らず調整していきましょう。
スマホ姿勢と巻き肩が首を追い込む
枕を見直しても寝違えを繰り返す場合、日中の姿勢に原因が隠れていることがあります。特に注目したいのが、うつむき姿勢と巻き肩です。
一般的に、頭の重さは成人で約5〜6kgあるといわれています。うつむくほど首にかかる負担は増え、首の前側の自然なカーブが失われやすくなります。この状態が続くと、首まわりの筋肉が常に緊張し、寝違えを起こしやすい土台ができてしまいます。
ソファで背中を丸めてテレビを見る、電車で下を向いてスマホを操作するといった何気ない時間も、少しずつ首を追い込んでいます。
1時間に1回を目安に、次の動きを取り入れてみてください。
- 両肩をゆっくり後ろに回す(前回し・後ろ回し各10回)
- あごを軽く引き、頭を天井から吊られるイメージで5秒キープ
- 胸を開いて深呼吸を3回
どれも1分ほどでできます。仕事や家事の合間に「気づいたら肩を回す」を習慣にすると、首の負担がたまりにくくなります。
また、スマートフォンは目線の高さまで持ち上げて見ると、うつむき角度が浅くなります。パソコンなら画面の上端が目の高さにくるよう台で調整するのも有効です。小さな工夫の積み重ねが、繰り返す寝違えの予防につながります。
運動不足・冷え・血流の悪さも背景に
寝違えを繰り返す原因として、運動不足や冷えによる血流の悪さも見逃せません。筋肉が硬く冷えていると、寝ている間の小さな負担でも痛めやすくなるといわれています。
世界保健機関(WHO)の身体活動ファクトシートによると、WHOは成人に週150分以上の中強度の身体活動を推奨していますが、世界の成人の31%(約18億人)はこの推奨レベルに達していません(2022年)。体を動かす習慣が少ない方は、首や肩の血流も滞りやすいと考えられます。
- 湯船に10分ほど浸かって体全体を温める
- 1日20〜30分のウォーキングを週数回取り入れる
- 首・肩を冷やさないようスカーフやタオルで保温する
- 蒸しタオルを首の後ろに数分あてる
蒸しタオルは、水で濡らして軽く絞ったタオルを電子レンジで温めるだけで作れます。就寝前に首の後ろを温めると、こわばりがゆるみやすくなります。※やけどに注意し、熱すぎないか必ず確認してください。
入浴のタイミングも大切です。米テキサス大学のメタ分析(Sleep Medicine Reviews, 2019)では、就寝の1〜2時間前に40〜42.5℃のお湯で10分ほど体を温めると、寝つきが早くなり睡眠の質も高まると報告されています。体が温まりリラックスして眠ることは、首の緊張をやわらげる助けになると考えられます。
温めと軽い運動を続けることで、首まわりの巡りが整いやすくなります。※すべての方に当てはまるものではありません。急に強い運動をせず、無理のない範囲から始めましょう。
まとめ
寝違えを繰り返す原因は、一つではありません。日中の首の負担、枕や寝具、姿勢、冷えや運動不足が重なって起こると考えられます。
- 寝違えは「寝方」だけでなく、日中の首の負担が土台になる
- 枕は高すぎ・低すぎを避け、首が自然な位置になるよう調整する
- うつむき姿勢と巻き肩を、こまめな肩回しでリセットする
- 入浴や軽い運動、蒸しタオルで首まわりを温め、血流を整える
- 痛みが強い・しびれを伴う・長引く場合は医療機関を受診する
繰り返す寝違えは、生活習慣の見直しで負担を減らせる余地があります。とはいえ、ご自身では原因が分かりにくいことも多いものです。首や肩の状態、姿勢のクセが気になる方は、どうぞ私たちにご相談ください。一人ひとりの体に合わせて、丁寧にサポートいたします。
成竹鍼灸整骨院グループ(江東区)では、国家資格者がお一人おひとりの状態を確認しながら、無理のない身体づくりをサポートしています。お気軽にご相談ください。
参考:
世界保健機関(WHO)身体活動ファクトシート
米テキサス大学オースティン校のメタ分析(Sleep Medicine Reviews, 2019)
英アストン大学のレビュー(BMJ Open Ophthalmology, 2018)
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