出産を終えてから、「腰が重い」「靴のかかとの減り方が左右で違う」といった変化に気づく方は少なくありません。育児で抱っこや前かがみが増えると、骨盤まわりへの負担も重なりがちです。「もしかして骨盤が歪んでいるのかも」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、ご自宅でできる骨盤の歪みセルフチェックの方法と、産後・育児中に無理なくできるケアの手順をご紹介します。まずはご自身の状態を知ることが、体を整える第一歩です。
産後に骨盤の歪みが気になる理由

妊娠・出産では、骨盤まわりに大きな変化が起こります。出産に向けて、体は「リラキシン」というホルモンの働きで、骨盤を支える靭帯をゆるめていきます。そのため産後は骨盤が不安定になりやすいといわれています。
そこへ育児の負担が重なります。授乳中の前かがみ、赤ちゃんを片側で抱っこする姿勢、床での寝かしつけなどです。左右どちらかに偏った姿勢が続くと、骨盤まわりの筋肉のバランスが崩れやすくなります。
たとえば、夜中の授乳でいつも同じ側を向いて寝ている方もいらっしゃいます。日中もソファで赤ちゃんをあやしながら、気づけば背中が丸まっていることもあるでしょう。こうした小さな偏りが積み重なっていきます。
実際に、産後の腰や骨盤まわりの痛みは多くの方が経験します。欧州の研究チームによる系統的レビュー(European Spine Journal, 2004)では、妊娠中の女性の約45%、産後の女性の約25%が腰や骨盤まわりの痛みを経験すると報告されています。
つまり、産後に骨盤まわりの不調を感じることは、決して特別なことではありません。
「自分だけが不調なのでは」と抱え込まず、まずは体の状態を確かめることが大切です。※感じ方には個人差があります。次の章から、具体的なセルフチェックの方法を見ていきましょう。
自宅でできる骨盤の歪みセルフチェック

専門的な道具は必要ありません。床とご自身の体があれば確認できます。無理をせず、痛みが出たらすぐに中止してください。時間は全部で5分ほどが目安です。
目を閉じて、その場で30回ほど足踏みをします。
- 目を開けたとき、最初の位置から大きく動いていないか
- 左右どちらかに回転していないか
体が大きく前後左右に移動していると、骨盤や体の重心に左右差がある可能性があります。転倒を防ぐため、周囲に物がない安全な場所で行いましょう。
あお向けに寝て、力を抜いて両脚を伸ばします。
- つま先の開き方が左右で違わないか
- 片方だけ外側に大きく倒れていないか
左右で開き方が明らかに違う場合、骨盤まわりの筋肉のバランスが崩れているサインかもしれません。ご家族に上から見てもらうと、左右差がより分かりやすくなります。
- 靴のかかとの減り方が左右で違う
- いつも同じ側で脚を組む
- スカートやズボンが左右どちらかに回りやすい
- 立っているとき、いつも同じ脚に体重をかけている
これらは骨盤の歪みセルフチェックの手がかりになります。複数当てはまる場合は、日々の姿勢を見直す機会と考えてみましょう。
よくある疑問:「歪みは自分で治せますか?」——軽い姿勢のクセなら日々のケアで整いやすくなりますが、自己判断が難しい場合もあります。
セルフチェックはあくまで目安です。強い痛みやしびれがある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
育児中の姿勢が骨盤に与える負担
骨盤の状態は、毎日の姿勢の積み重ねで変わっていきます。育児中は、知らないうちに骨盤へ負担をかける場面が多くあります。
赤ちゃんを片側の腰にのせて抱っこする姿勢は、体が左右どちらかに傾きます。同じ側ばかりで続けると、骨盤まわりの筋肉のバランスが偏りやすくなります。授乳時に背中を丸めて前かがみになるのも、腰や骨盤への負担につながります。
授乳のときは、クッションを使って赤ちゃんの高さを上げると、前かがみをやわらげやすくなります。抱っこひもを使うときは、肩と腰のベルトを左右均等に調整しましょう。
床に座って「横座り」や「ぺたんこ座り」を続けるのも注意したい姿勢です。骨盤が左右非対称に傾きやすくなります。ソファに浅く腰かけて背もたれに寄りかかる姿勢も、骨盤が後ろに倒れやすくなります。
床に座るときは、あぐらや正座を左右交互に組み替えるのがおすすめです。長く同じ姿勢を続けないよう、30分に一度は立ち上がって体を動かしましょう。
抱っこは左右交互を意識するだけでも、負担の偏りをやわらげやすくなります。
腰痛は世界的にも身近な不調です。世界保健機関(WHO)の腰痛ファクトシートによると、2020年時点で世界の腰痛人口は推定6億1,900万人にのぼり、腰痛は世界の障害原因の第1位とされています。育児中の姿勢を少し見直すことは、こうした腰まわりの不調をやわらげる一歩になります。※すべての方に当てはまるものではありません。
産後・育児中にできる骨盤ケアの手順
セルフチェックで気になる点があったら、無理のない範囲でケアを取り入れてみましょう。産後の体はデリケートです。体調が落ち着いてから、痛みのない範囲で行ってください。
1. あお向け膝倒し(左右10回)
- あお向けで両膝を立てる
- そろえた両膝をゆっくり左右に倒す
- 息を吐きながら1回3〜5秒かけて
腰が反らないよう、お腹に軽く力を入れて行うのがコツです。
2. お尻上げ(10回×2セット)
- あお向けで両膝を立てる
- 息を吐きながらお尻を軽く持ち上げる
- 3秒キープしてゆっくり下ろす
お尻とももの裏を意識すると、骨盤を支える筋肉に働きかけやすくなります。
3. 骨盤まわりの深呼吸(5回)
- あお向けで、鼻から吸ってお腹をふくらませる
- 口から長く吐きながらお腹をへこませる
1日1回、寝る前の数分でも続けやすいケアです。赤ちゃんが眠っている間に取り入れてみましょう。
- 抱っこは左右交互を意識する
- 座るときは坐骨で座り、背すじを軽く伸ばす
- 長時間の同じ姿勢を避け、こまめに動く
- 重い荷物は片方の肩ばかりで持たない
体を動かす習慣も大切です。世界保健機関(WHO)の身体活動ファクトシートでは、成人に週150分以上の中強度の身体活動を推奨しています。一方、世界の成人の31%(約18億人)はこの推奨レベルに達していないと報告されています(2022年)。短い時間でも、毎日体を動かす習慣が骨盤まわりのケアを支えます。ベビーカーでの散歩など、育児のなかでできる運動から始めてみましょう。※感じ方には個人差があります。
まとめ
産後・育児中の骨盤の変化は、多くの方が経験する身近なものです。まずはセルフチェックで、ご自身の状態を知ることから始めてみましょう。
- 産後は骨盤が不安定になりやすく、育児の姿勢が負担を重ねやすい
- 足踏みテストや脚の開き、靴の減り方などでセルフチェックできる
- 抱っこは左右交互、座り方の見直しで負担の偏りをやわらげる
- 膝倒しやお尻上げなど、無理のないケアを痛みのない範囲で
- 強い痛みやしびれが続く場合は医療機関に相談する
骨盤の歪みセルフチェックは目安であり、自己判断が難しいこともあります。産後の腰や骨盤まわりの不調が長引くとき、どんなケアが合うか分からないときは、私たちにご相談ください。江東区の南砂院・塩浜院・東砂院で、お一人おひとりの状態に合わせてサポートいたします。
成竹鍼灸整骨院グループ(江東区)では、国家資格者がお一人おひとりの状態を確認しながら、無理のない身体づくりをサポートしています。お気軽にご相談ください。
参考:
世界保健機関(WHO)身体活動ファクトシート
世界保健機関(WHO)腰痛ファクトシート
欧州の系統的レビュー(European Spine Journal, 2004)
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